VMDは、小売業を中心に注目されているマーケティングの手法です。とくにアパレル業界で広く活用されており、視覚的な要素を駆使して、顧客にブランドの魅力を効果的にアピールできます。
本記事では「VMDについて詳しく知りたい」「店作りにVMDを活かすにはどうすればいい?」とお悩みの店舗事業者様に向けて、VMDの基本や売上アップにつながる具体的な方法について解説します。
VMDをうまく活用すれば、店の魅力を最大限に引き出せます。自店舗に合ったVMDで、売上アップを目指しましょう。
VMDが優れている店にするための基礎知識
VMDとは、Visual Merchandising(ビジュアルマーチャンダイジング)を略した言葉で、店を訪れた人が商品を魅力的に感じ、思わず購入したくなるように、陳列方法や店内の演出などを工夫するマーケティング手法です。VMDにより、集客率向上と売上アップが期待できます。
たとえば、店の雰囲気をガラリと変えたり、ブランドイメージに合った家具を置いたりといった工夫もVMDに含まれます。
VMDはまだアナログ的な表現が多いですが、デジタルサイネージ(電子看板)を活用することで、より効果的に視覚的にアピールできます。アナログ的表現の際に発生するコストの削減にもつながるため、近年注目されています。
ここからは、VMDと混同されがちな「ディスプレイ」との違いや、VMDを構成する3つの要素について詳しく解説します。
VMDとディスプレイの違い
VMDとディスプレイは似ているようで、少し意味が異なります。ディスプレイは、商品が魅力的に見えるよう陳列・展示することを指します。
一方、VMDは広い視点で店舗について考え、どのように商品を見せて顧客を店舗に呼び込むのか、 行動してもらうのかを考え、店全体の見せ方や雰囲気作りを行います。すなわち、ディスプレイはVMD手法のひとつといえるでしょう。
例として、夏に涼しげなイメージの店作りを行うケースを想定してみましょう。VMDでは、まず店全体に装飾などで青色を取り入れるといった計画を立てます。その計画に沿って、青い色の商品のコーナーを作ったり、店の見えやすい位置に並べたりするのがディスプレイです。
VMDの構成要素
ここからは、VMDの構成要素であるVP・PP・IPについてひとつずつ解説します。
VP
VP(ビジュアル・プレゼンテーション)とは、ブランドや店舗のコンセプトやイメージを視覚的に表現する取り組みです。
VPは、顧客を店舗へ誘導することを目的とし、顧客に興味を持たせ、商品を手に取ってもらうきっかけを作ります。VPを効果的に行うためには、店舗の入り口付近やメインディスプレイなどで統一した世界観を演出しましょう。
PP
PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)とは、店内でとくに売りたい商品を選び、目立つ場所に配置して販売促進を行う取り組みのことです。
アパレル店の場合、売り出したい商品をマネキンに着せて店頭に飾ることで、PPを行う店舗が多いです。また、レジ周辺などの顧客の目に留まりやすい場所に商品を置くことで、購買意欲を高める効果が期待できます。
PP商品に自然と目が行くように、顧客の動線を意識して配置するとよいでしょう。
IP
IP(アイテム・プレゼンテーション)とは、店の商品一つひとつを「見やすく・選びやすく・買いやすく」する手法です。IPは、ショーケースや陳列棚などの什器を使用して行います。
アパレル店の場合、洋服の種類や色・サイズがわかりやすいように、ハンガーにかけて陳列したり、畳んで棚にきれいに並べたりします。その際、きれいに陳列するだけでなく、季節感や店のコンセプトに合わせた工夫が必要です。
商品の魅力を最大限に引き出したうえで、顧客が手に取りやすい陳列にするとよいでしょう。
VMDが優れている店にするためのポイント

VMDが優れている店にするためには、5つのポイントがあります。ひとつずつ詳しく解説します。
コンセプトを明確にする
VMDが優れた店舗を実現するためには、まず「どんな店を作りたいのか」というコンセプトを明確にすることが大切です。
ブランドイメージや商品のコンセプトを反映した、一貫性のあるVMDを実現することで、ターゲット層を効果的に引きつけられます。また、顧客との認識のズレを防ぐことで、売上向上にもつながるというメリットがあります。
「おしゃれで大人な雰囲気の店にしたい」「リラックスできる空間にしたい」など、具体的なイメージをもとにVMDを行うことで、ターゲット層にしっかりとアピールできるでしょう。
ディスプレイの基本構成を考える
VMDの効果を高めるには、ディスプレイの構成を意識しましょう。ディスプレイの基本構成には、トライアングル・リピート・シンメトリー・アシンメトリーの4つがあります。
・トライアングル
真ん中に背の高い商品を置き、左右に背の低い商品を並べること。三角形のような安定性を感じさせる効果がある。
・リピート
規則的に商品を陳列すること。リズム感を生み出し、商品に目が行きやすくなる効果が期待できる。
・シンメトリー
左右対称に商品を陳列すること。安定性を生み出し、フォーマルで落ち着いた印象を与える。
・アシンメトリー
左右非対称に商品を陳列すること。カジュアルでおしゃれな雰囲気を演出できる。
上記の構成などから商品や季節、客層に合わせて最適なものを選ぶことで、顧客の目を惹く魅力的な売り場となるでしょう。
消費者目線でレイアウトを作る
VMDを成功させるためには、顧客の視点に立ってレイアウトを考えることが重要です。顧客目線を無視した陳列は、商品が見づらい、または手に取りにくい配置になり、購買意欲を損ねるおそれがあります。
顧客は店内を周りながら商品をチェックするため、スムーズに商品を選べるよう、店内の動線設計やレイアウトにも工夫が必要です。顧客の視点を意識してVMDを計画することで、より効果的な売り場作りが可能になります。
商品分析の質を重視する
VMDを効果的に行うには、商品分析をしっかりと行う必要があります。商品分析を行う際は、売上と在庫数の両方を確認しましょう。
売上表で、商品ごとの売上や販売ランキングを確認し、販売強化すべき商品を具体的に選定します。よく売れている商品は在庫切れのリスクが高いため、販売を強化する際には在庫数を考慮して慎重に判断しましょう。
売上構成比や在庫構成比などを総合的に分析し、販売戦略を練ることが重要です。
VMD研修を活用する
効果的なVMDについて詳しく学びたい場合は、VMD研修を活用して専門的に勉強するとよいでしょう。クリエイティブアルファのVMD研修は、顧客の購買行動から視覚的な商品陳列に関する手法を学ぶなど、現場で活用しやすい内容となっています。
また、体感型ワークショップ形式であるため、楽しみながら主体的に学習できます。事前ヒアリングをもとに、「どのような売り場づくりをしたいか」に合わせたVMD研修を企画するため、効果的に学べます。
VMDを活用して売り上げをアップさせたいと考えている方は、ぜひクリエイティブアルファのVMD研修をご検討ください。
株式会社クリエイティブアルファでは、クリエイティブアルファのVDM研修に関する相談を受け付けております。お困りの際にはぜひお問い合わせください。
まとめ
VMDは、視覚的な訴求により顧客の心をつかみ、商品の販売促進を図るマーケティング手法です。店のコンセプトを明確にする、顧客の目線でレイアウトを考えるなどのポイントを押さえてVMDを行うことで、魅力的な売り場を作れます。
より詳しく、そして高度なVMD手法を身につけるには、研修を通じて学ぶのがおすすめです。クリエイティブアルファでは、ディスプレイのテクニックだけでなく、VMDの本質についてもお伝えしています。
実際に研修をご活用されたお客様からは「これまで感覚的に行っていた売り場づくりを理論的に理解することができた」「さまざまな気づきがあった」「研修冊子もとてもわかりやすかった」とうれしいお言葉を頂戴しております。ぜひお気軽にお問い合わせください。