カスタマーハラスメント研修の目的や内容・実施方法を解説2024.10.25

カスタマーハラスメント研修は、カスハラに対して理解力や対応力を高めることを目的に実施するものです。研修を実施する際、どのような内容を学ぶべきか、どのように実施するのかを把握しておくとよいでしょう。

そこで本記事では、カスタマーハラスメント研修の内容や実施方法をご紹介します。そのほか、研修をただ行うだけではなく、研修内容をどのように活かすのかもお伝えするので、研修の実施を検討している場合はぜひ参考にしてください。

カスタマーハラスメント研修の目的

カスタマーハラスメント研修を行う目的は、主にカスハラに対する理解力や対応力を高めたり、従業員や組織の生産性向上・健康維持につなげたりすることです。カスハラは、従業員に精神的苦痛をもたらすおそれがあるからこそ、概念を浸透させることが大切です。

顧客から理不尽な要求をされたときに、どのようなケースがカスハラであるか理解しておけば、その都度適切な対応につなげられるでしょう。カスハラの概念が浸透すれば、従業員一人ひとりが受ける被害を最小限に抑えられます。

また、研修によりカスハラに対してどのように対応すべきか、スキルや知識が身につきます。万が一、カスハラに直面したときは、被害が深刻化する前に適切に対応できるでしょう。

カスハラの理解力や対応力が上がれば、従業員一人ひとりの精神的苦痛を軽減し、生産性向上や健康維持につながります。業務の効率性が向上すると、売り上げ向上や業績アップなど、組織としても大きなメリットが得られる可能性があります。

カスタマーハラスメント研修の内容

カスタマーハラスメント研修を実施する前に、どのような内容を学ぶのかを把握しておきましょう。ここでは、カスタマーハラスメント研修の主な内容を6つご紹介します。

クレームとカスハラの違いを学ぶ

カスタマーハラスメント研修では、まず概念を理解するために、クレームとカスハラの違いを学びます。クレームとは、顧客からの改善要求や苦情などのことであり、正当なクレームであれば組織の成長やサービス改善などにつながる可能性があるでしょう。

一方で、カスハラとは、顧客からの理不尽なクレームや要求などのことです。正当なクレームに対し、カスハラは組織にとって成長につながるようなプラス要素がない場合が該当します。

クレームとカスハラを見分ける際、明確なラインがあるわけではないので、クレームでも顧客の態度次第では、カスハラに当てはまるケースもあります。クレームとカスハラは適切な対応が異なるので、まずはどちらに該当するのか、違いを理解しておくことが大切です。

クレーマーへの対応を学ぶ

カスタマーハラスメント研修では、いざカスハラの被害を受けそうになったときに対応できるよう、クレーマーへの対応を学びます。事前にシミュレーションをして学習することで、より適切な対応力を身につけられるでしょう。

カスハラは、理不尽な要求や不適切な言動を繰り返し行う傾向にあるので、再発を防ぐためにも正しい対応が求められます。顧客対応の理論を学ぶ場でもあるので、カスハラに限らず、接客全般に関する知識も身につけられるメリットがあります。

従業員の考える力の養い方を学ぶ

カスタマーハラスメント研修では、従業員一人ひとりの考える力の養い方を学ぶことも大切です。さまざまな顧客がいるなかで、その言動がカスハラに該当するのか正しく判断できる力が求められます。

カスハラの内容もさまざまなので、臨機応変に対応できるように、時と場合に合わせて考えられる力が必要です。柔軟に考えられる力が身につけば、どのように対応すればよいかスムーズに判断できるようになるでしょう。

レジリエンス力の身につけ方を学ぶ

カスタマーハラスメント研修では、レジリエンス力の身につけ方も学びます。レジリエンス力とは、逆境や困難な場面に直面したときに、適応して精神を回復させる強さのことを指します。

レジリエンス力の高い従業員は、カスハラなどのプレッシャーがかかる場面に直面しても、臨機応変に対応することが可能です。レジリエンス力の身につけ方をマスターすれば、ストレスを溜め込まずにメンタルを維持できるようになるでしょう。

ロジカルコミュニケーションについて学ぶ

カスタマーハラスメント研修では、ロジカルコミュニケーションについて学ぶことも大切です。ロジカルコミュニケーションとは、自分の考えを論理的に的確に発信し、相手の話を聞いて要点を正しく把握することを指します。

ロジカルコミュニケーションを身につけることで、情報発信力と受信力を高められるので、さまざまなカスハラの対応で役立つでしょう。自分の考えや情報を論理的に伝えるだけではなく、相手の話の要点も汲み取ることで、カスハラの被害の悪化を未然に防げます。

二次対応者向けの対応を学ぶ

カスタマーハラスメント研修では、二次対応者向けの対応を学びます。接客担当者だけでは解決できないカスハラの事例もあり、マネージャーや上司、専門部署のスタッフなどの二次対応者が接客担当者をサポートする対策が必要です。

そのため、日頃から接客を行う従業員だけではなく、二次対応者に該当するマネージャーや上司なども研修で対応を学びましょう。接客担当者が学ぶ内容とは別に、接客担当者からの報告を受けたときや、組織全体で情報を共有する方法なども学べます。

カスタマーハラスメント研修の実施方法

カスタマーハラスメント研修は、さまざまな方法で実施することが可能です。ここでは、カスタマーハラスメント研修の実施方法を3つご紹介します。

厚生労働省の動画を活用する

厚生労働省は、さまざまなハラスメントに対する研修動画を配信中です。動画は無料で視聴でき、カスハラ向けの研修動画もあります。現時点では令和6年6月11日に改訂しており、定期的に内容の見直しが行われています。

厚生労働省が提供している動画のため、信ぴょう性が高く、公式サイトではテキスト資料もダウンロード可能です。スマートフォンさえあれば視聴や閲覧ができるため、従業員全員を集めなくても、個々の時間があるときに見れるメリットがあります。

カスハラ以外にも、職場におけるハラスメント対策や就活ハラスメント対策についての研修動画も配信中です。カスタマーハラスメント研修を行うとともに、ほかのハラスメントについても知識を深めるとよいでしょう。

eラーニングを活用する

カスタマーハラスメント研修用のカリキュラムを作成する時間がない場合は、eラーニングを活用することがおすすめです。カスハラの一般的な対策はすでに教材となっているので、一般的な知識の部分をeラーニングで学べるようにするとよいでしょう。

自社独自の対策を共有したい場合、eラーニングを活用すればその部分のみの研修内容を作成すればよいので、カリキュラム作成の手間や負担が軽減されます。eラーニングなら、従業員全員を集めずに、一人ひとりのスケジュールに合わせて学ぶことが可能です。

また、eラーニングなどの教材の進捗を従業員一人ひとりで確認できるシステムもあります。カスタマーハラスメント研修において、eラーニングなどの教材を活かすことで、効率的に知識を身につけられるでしょう。

外部講師に依頼する

カスタマーハラスメント研修は、外部講師に依頼して実施することができます。eラーニングなどの教材内容が自社に合わない場合は、自社の仕事内容や過去のカスハラの事例などを外部講師に伝えたうえで、実践的な対策を指導してもらうことがおすすめです。

ただし、ほかの実施方法と比べると、費用が高くなる傾向にあります。外部講師に依頼して自社に合った対策を学ぶことで対応力が上がり、顧客満足度向上により売り上げや実績アップなどにつながって、高い費用対効果が得られる可能性があります。

カスタマーハラスメント研修を活かすには

カスタマーハラスメント研修は、ただ実施するのではなく、実施したあとに行動に移すことが大切です。ここでは、カスタマーハラスメント研修を活かすために企業や組織がすべきことを3つご紹介します。

ガイドラインの策定

カスタマーハラスメント研修を進める際、ガイドラインを策定して従業員に共有することが大切です。ガイドラインの策定と同時に、カスハラに関するポリシーも明確にして共有しましょう。

カスハラは人によって捉え方がさまざまなので、明確なポリシーとガイドラインで従業員全員でカスハラの概念を統一させることがポイントです。ガイドラインには、カスハラに直面したときに誰に報告すればよいか、具体的な対応方法などを記載しておきましょう。

カスハラ防止の文化醸成

カスハラの被害から従業員を守るために、組織全体でカスハラを容認しない文化醸成が大切です。マネージャーやリーダー、上司などが積極的にカスハラ防止の重要性を強調することが求められます。

とくに、従業員全員を集めてカスタマーハラスメント研修を実施することが難しい場合は、まずリーダー層を対象に研修を行い、カスハラ防止の文化醸成から進めていくのもポイントです。カスハラだけではなく、パワハラやセクハラなどの抑制にもつながるでしょう。

また、カスハラで精神的苦痛を受けた従業員が周囲に気軽に相談できる環境を整えるために、ハラスメント関連の窓口を設置することもおすすめです。従業員が匿名で相談できる体制にすれば、気軽に相談しやすいでしょう。

適切な対応と制裁の実施

カスハラ対策を進める際、適切な対応を行い、場合に応じて適切な制裁を実施することが必要です。組織が積極的に介入する姿勢を見せれば、従業員も安心して働くことができるでしょう。

また、カスハラ対策に力を入れている企業や組織として認知されれば、カスハラを行う方の抑制にもつながります。論理的な情報発信力で適切に対応すれば、同じ方がカスハラを繰り返すことも抑制できるでしょう。

こちらの記事では、カスハラの判断基準について解説しています。クレームとの違いや対策も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

カスタマーハラスメント研修は、カスハラの適切な対応方法を身につけたり、カスハラの再発を防止したりするためのものです。厚生労働省が配信中の研修動画や、eラーニングなどの教材を活用することで、効率的にカスハラについて学ぶことができます。

カスハラ対策では、カスハラの概念を社内で統一させ、従業員一人ひとりが臨機応変に対応できる力を身につけることが求められます。はじめてカスハラ対策を行う場合、外部講師に研修を依頼することも検討するとよいでしょう。

株式会社クリエイティブアルファでは、カスタマーハラスメントについての研修も行っています。研修の実施やサービス内容に興味がある方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。