LTVとは?活用シーンや重要視される背景・計算方法・向上施策を解説

LTVとは?活用シーンや重要視される背景・計算方法・向上施策を解説

近年、店舗運営や店長研修の現場でLTVという言葉を耳にする機会が増えています。しかし、その意味や活用方法が曖昧なままでは、現場への落とし込みは難しくなるでしょう。

LTVは、顧客との信頼関係の深さを測り、長期的な収益構造を可視化する重要な指標です。
この記事では、LTVの基本的な定義や計算方法に触れたうえで、実際の活用シーンや向上につながる施策まで順を追って解説します。

LTVとは

LTVとはLifeTimeValue(ライフタイムバリュー)の略称で、ある顧客が取引開始から離脱するまでに、企業にもたらす価値を数値化した指標です。

LTVの算出方法には、次の2つがあります。

  • 売上ベース:売上の合計で顧客価値を把握する
  • 利益ベース:粗利や獲得・維持コストまで含めて顧客価値を把握する

たとえばアパレル店舗では、ある顧客が初めて来店してから最後の購入に至るまでに、合計でどれだけの価値(売上・利益)を生み出したかを数値化したものがLTVです。1回だけ購入して終わる顧客より、何度もリピートし、長期間にわたって購入を続けてくれる顧客の方がLTVは高くなります。

店舗運営でLTVを把握すると、目先の売上だけでなく、顧客との長期的な関係性がどの程度の価値を持つのかを理解しやすくなります。売上や客数といった従来の指標だけでは見えにくかった、顧客との関係性の質を測る視点が得られます。

「LTVが高い」とはどういう状態?

LTVが高いとは、顧客が長い期間にわたって継続的に購入し、企業に大きな利益をもたらしている状態を指します。単に、一度の購入金額が大きいという意味ではありません。

たとえば、次の2人を比べると違いが分かりやすくなります。

  • セールのときだけ来店し、一度にまとめ買いする顧客
  • 毎シーズン、定価の商品を少しずつでも買い続ける顧客

一見すると前者の方が「1回あたりの売上」は大きく見えます。しかし後者は、3年・5年と長期にわたって安定した購入が期待できるため、結果としてLTVは後者の方が高くなるケースが多いです。

また、LTVが高い顧客には、もうひとつ大切な特徴があります。ブランドや店舗への愛着が強く、SNSや口コミでよい評判を広げてくれる点です。このような顧客はロイヤルカスタマーと呼ばれ、新規顧客の獲得にもつながる貴重な存在といえます。

LTVが高い状態とは、顧客がこの店でまた買いたいと感じ続けてくれる関係性を築けている証拠です。

LTVの主な活用シーン


LTVは店舗運営の現場で、具体的な意思決定や戦略立案に活用できる実践的な指標です。
従来の月次売上や客数だけでは見えてこなかった顧客との関係性の価値を数値として捉えることで、より戦略的な店舗運営につなげやすくなります。

セグメントごとの収益分析

LTVを活用することで、顧客をセグメント(層)ごとに分析し、どの層が長期的に高い収益をもたらしているかを把握できます。たとえばアパレル店舗では、次の2つの層でLTVに大きな差が生まれやすくなります。

顧客層 特徴
セール時のみ来店する層 ・1回の購入金額は大きくなりやすい
・値引きにより粗利率が低い
・来店頻度が限定的になりやすい
プロパー商品を定期的に購入する層 ・定価購入が多く粗利率が高い
・継続的な来店が見込める
・結果としてLTVが高くなる傾向がある

このようにLTVを基準に見ることで、注力すべき顧客層や、効果的な接客の方向性が明確になります。店長研修の場でも、具体的な数値をもとに指導しやすくなります。

利益とコストのバランス分析

LTVを活用することで、顧客獲得や維持にかかるコストと、そこから得られる利益とのバランスを評価できます。これは、限られたリソースをどこに投資すべきかを判断するうえで重要な視点になります。

【新規顧客向け施策(例)】

  • イベント、広告など
  • 集客効果は期待できる一方、コストが大きくなりやすい

【既存顧客向け施策(例)】

  • サンクスイベント、フォローメールなど
  • 比較的低コストで実施しやすく、継続購入につながりやすい

LTVの視点で考えると、既存顧客との関係を深めて継続購入を促す方が、投資対効果が高くなるケースが多いといえます。

LTVが重要視される背景

なぜ今、LTVがこれほど注目されているのでしょうか。その背景には、市場環境の変化や消費者行動の変化があります。従来の「新規顧客をどんどん獲得する」スタイルから「既存顧客との関係を深めて長く付き合う」スタイルへの転換が求められています。

新規顧客獲得の難化

日本では少子高齢化が進み、人口は減少の一途をたどっています。

総務省統計局のデータでは、日本の総人口は2008年の約1億2,808万人をピークに減少し続けているとされています。市場全体のパイが小さくなる中で、企業は限られた顧客を奪い合う状況になっています。

人口減少にともなって新規顧客の母数が減り、市場が飽和したことによって獲得コストも上昇しています。マーケティングでよく引用される「1:5の法則」では、新規顧客の獲得には既存顧客の維持の5倍のコストがかかるとされています。

そのため、既存顧客との関係を深めてLTVを高める戦略が、とくに重要視されるようになっています。

出典:総務省統計局「人口推計」(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/index.html
出典:国土交通省ホームページ「第1節 若者を取り巻く社会経済状況の変化」
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h24/hakusho/h25/html/n1111000.html

顧客ロイヤルティ向上の重要性アップ

商品が飽和し、価格や品質だけでは差別化が難しくなった現代では、顧客のロイヤルティ(愛着や信頼)の重要性が高まっています。ブランドや店舗への愛着を育てることが不可欠といえるでしょう。

顧客ロイヤルティが高い顧客は、継続的に自社を選んでくれるだけでなく、SNSや口コミでよい評判を広めてくれます。その結果、新規顧客の獲得にもつながる大きな力を持つ存在になります。

こちらの記事では、顧客ロイヤルティについて解説しています。
顧客満足度との違いや向上施策も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

One to Oneマーケティングの主流化

インターネットの普及によって消費者の嗜好が多様化し、顧客一人ひとりの好みに合わせてアプローチする「One to Oneマーケティング」が主流になりつつあります。

顧客データを活用し、購買履歴にもとづいて提案を行うことで、顧客満足度が高まり、継続購入にもつながります。

サブスクリプションサービスの浸透

サブスクリプション型ビジネスの普及により、継続利用を前提とするLTVの考え方がとくに重視されるようになっています。

アパレル業界でも「所有から利用へ」と価値観がシフトする可能性もあります。「継続的に買い続けてもらう」という視点がいっそう重要になるでしょう。

LTVの計算方法

LTVを実際に活用するためには、その計算方法を理解しておく必要があります。ここでは、店舗運営との関連性が高い4つの計算方法を紹介します。

基本のシンプルな計算式

  • 最もシンプルなLTVの計算式は次のとおりです。

LTV=平均購入単価×購入頻度×継続期間

この式は、顧客が「いくらの商品を」「どれくらいの頻度で」「何年間」購入し続けるかを掛け合わせたものです。粗利やコストは考慮せず、売上ベースで顧客の価値を測るときに用いられます。

  • 例:客単価15,000円/年4回購入/継続3年
  • 15,000円×4回×3年=180,000円

たとえば客単価が15,000円で、年4回の購入が3年間続く顧客の場合、LTVは15,000円×4回×3年=180,000円となります。非常にシンプルで直感的に理解しやすい一方で、利益率やコストまでは反映されていない点に注意が必要です。

粗利ベースの計算式

売上だけでなく、実際の利益を考慮したLTVの計算式は次のとおりです。
この式では、売上に粗利率を掛けることでどれだけ利益が残るかを計算します。

  • LTV=平均購入単価×粗利率×購入頻度×継続期間

プロパー商品(粗利率50%)とセール商品(粗利率20%)では、同じ売上でも利益は大きく異なります。

  • 例:客単価15,000円/粗利率50%/年4回購入/継続3年
  • 15,000円×50%×4回×3年=90,000円

この計算式を使うと、プロパー販売比率を高める接客の重要性がより明確になります。

顧客の獲得・維持コストを加味した計算式

より実践的なLTVを算出するには、顧客の獲得や維持にかかるコストも考慮する必要があります。

  • LTV=(平均購入単価×粗利率×購入頻度×継続期間)−(顧客獲得コスト+顧客維持コスト)

【顧客獲得コストの例】
広告宣伝費、販促費、新規顧客向けクーポン原資 など

【顧客維持コストの例】
ポイント付与、既存顧客向けイベント費用、フォローメール運用コスト など

  • 例:粗利ベースLTV 90,000円/獲得10,000円/維持5,000円
  • 90,000円−(10,000円+5,000円)=75,000円

この式を使うことで「高いコストをかけて獲得した顧客が、実際にどれだけ利益を生み出しているか」を評価できます。新規キャンペーンを行う際も、コストに見合うLTVが得られているかを検証することが重要です。

解約率を加味した計算式

サブスクリプション型のサービスでよく使われる計算式ですが、実店舗の分析にも応用できます。

  • LTVの目安:(期間あたりの平均売上(または粗利))÷解約率(チャーンレート)

※実店舗では「一定期間来店がない顧客」を離脱とみなすなど、チャーンの定義を決めて運用します。

解約率とは、顧客が離脱する割合のことです。実店舗では明確な解約手続きはありませんが「1年以上来店がない」「2年間購入履歴がない」といった状態を、実質的な離脱とみなして考えることができます。

  • 例:期間あたり平均売上15,000円/年間の解約率10%(0.1)
  • 15,000円÷0.1=150,000円

この式の利点は、解約率を下げることの重要性がひと目で分かる点です。解約率が10%から5%に改善すれば、LTVは150,000円から300,000円へと倍増します。

購入後のフォローが不十分だと、顧客が離れてしまうケースは少なくありません。買ったら終わりではなく、購入後にお手入れのアドバイスや新商品の案内を届けることで、再来店を促すことができます。
こうした施策が解約率の低下につながり、結果としてLTVの向上にも結び付きます。

LTVを考えるうえで押さえておきたい指標

LTVを深く理解し効果的に活用するには、関連する指標についても知っておく必要があります。「どの数字を改善すればLTVが高まるのか」を把握するための手がかりとして、これらの指標を捉えてください。

ARPU・ARPA

ARPUは「Average Revenue Per User」の略で、1人のユーザーあたりの平均売上額を示す指標です。同様にARPAは「Average Revenue Per Account」の略で、1つのアカウントあたりの平均売上額を示します。

店舗運営では、ARPUを「顧客1人あたりの平均売上」と捉えると分かりやすい指標です。

  • 例:月間売上300万円/顧客数200人
  • ARPU=300万円÷200人=15,000円

ARPUは、LTV計算における「平均購入単価」を求める際の土台になります。ARPUを高めることは、そのままLTV向上につながるため、顧客単価を上げる施策の効果測定にも活用できます。

アプリ会員やオンラインストアの会員データを保有している場合は、ARPUを継続的に追跡することで、各種施策の効果を定量的に把握しやすくなります。

CAC

CACは「Customer Acquisition Cost」の略で、1人の新規顧客を獲得するためにかかったコストを示す指標です。

計算式は次のとおりです。

  • CAC=顧客獲得にかかった総コスト÷新規顧客数

たとえば、100万円のキャンペーンで新規50人獲得した場合の計算式は以下のとおりです。

  • CAC=100万円÷50人=20,000円

CACは、LTVと組み合わせて評価することが重要です。目安として「LTV÷CACが3以上」を健全ラインとして扱うこともありますが、業界や粗利率、回収期間によって適正値は変わります。

クーポン配布、DM送付、SNS広告など、新規顧客獲得のための施策はさまざまです。これらの施策ごとにCACを計算し、LTVと比較することで、どの施策が最も効率的かを判断できます。

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクスは顧客1人あたりの採算性を表す指標で、LTVとCACの比率で算出します。

  • ユニットエコノミクス=LTV÷CAC

この数値が3以上であれば、ビジネスとして健全とされます。

  • 例:LTV 90,000円/CAC 20,000円
  • 90,000円÷20,000円=4.5

高単価商材ではより高い比率を目標とすべき場合もあれば、薄利多売型のビジネスでは3前後でも十分と考えられるケースもあります。数値だけにとらわれず、自社のビジネスモデルに合わせて判断することが重要です。

ユニットエコノミクスを定期的にチェックすることで、店舗単体の収益性や投資の妥当性を客観的に評価しやすくなります。

チャーンレート

チャーンレートは「解約率」または「離脱率」を意味する指標で、顧客が離れていく割合を示します。

計算式は次のとおりです。

  • チャーンレート=一定期間に離脱した顧客数÷期首の顧客数

たとえば年初に顧客が1,000人いて、年末までのあいだに100人が離脱(1年間購入なし)した場合、チャーンレートは10%になります。

チャーンレートが高いということは、顧客が離れていくスピードが速いということです。新規顧客を獲得しても、同じスピードで既存顧客が離脱していてはLTVは高まりません。

その大きな要因として、購入後のフォロー不足が挙げられます。「買ったら終わり」にせず、以下のようなアクションをしましょう。

  • お買い上げ後のお礼メール
  • 次回来店時の特典案内
  • お手入れ方法のアドバイス

チャーンレートを下げることは、顧客の継続期間を伸ばすことに直結します。LTVを高めるうえで、最も効果的な取り組みのひとつといえます。

LTVを高めるための施策例

LTVを高めるには、具体的な施策を実行することが必要です。

ここでは、LTVを構成する要素ごとに実践的な施策を紹介します。

顧客単価を上げる

顧客単価を高めるには、次の2つが効果的です。

  • アップセル:より上位の商品を提案する
  • クロスセル:関連商品をあわせて提案する

顧客のニーズを正確に把握し、押し売りにならない範囲で提案することで、満足度を損なわずに単価アップを実現できます。

購入頻度を高める

店頭での感動体験や丁寧な接客は、再来店を促す大きなきっかけになります。

デジタルツールで新商品の案内やセール情報を送るときは、顧客の購買履歴を踏まえて内容を最適化することが大切です。定期購入プログラムやポイント制度を組み合わせれば、継続して選んでもらえる仕組みづくりにもつながります。

継続利用期間を伸ばす(解約率を下げる)

購入後のアフターケアは重要です。お手入れ方法のアドバイスやコーディネート提案など、購入後も接点を持ち続けることでブランドへの愛着が深まります。

離脱の兆しがある顧客には、早めにフォローしましょう。

顧客の獲得・維持コストを下げる

既存顧客の紹介プログラムは、低コストで新規顧客を獲得しやすい施策です。

在庫管理システムや顧客管理ツールを導入して業務を効率化し、できるだけ質の高い接客に時間を割ける体制を整えましょう。

粗利率を上げる

プロパー販売比率を高めることが最も効果的です。商品の価値を正しく伝えるスキルを磨き、顧客が納得して購入できる状態を整えることで、値引きに頼らず選ばれる店舗を目指せます。接客力を高めることが、LTV向上にとって最も力強い施策といえます。

まとめ

LTVは顧客との信頼関係の総和を示す重要な指標です。目先の売上だけを追うのではなく、顧客単価や購入頻度、継続期間、粗利率などをバランスよく高めることが長期的な収益につながります。そして、その土台となるのが現場の接客力です。

株式会社クリエイティブアルファでは、LTVを共通言語とした店長研修や接客研修を通じて現場力を高めるプログラムを提供しています。
現状の課題(例:リピート率が伸びない/プロパー比率が下がる/顧客フォローが属人化している)を伺い、店舗の状況に合わせた研修設計をご提案します。

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