問題解決力とは?今日からできる鍛え方&5つの行動ステップ2025.06.19

問題解決力は、個人のスキルにとどまらず、チーム全体の成果にも大きな影響を与える重要な能力です。しかし、問題解決力はどのように向上できるか具体的な方法が分からない方も多いでしょう。

本記事では、問題解決力を高めるための考え方と、実践的な5つのステップについて詳しく解説します。チーム育成において有効な指針を得たい方は、ぜひ参考にしてください。

問題解決力とは?

問題解決力とは、企業や個人が直面する課題や問題の本質的な原因を見極め、効果的な解決策を立てて実行に移す力です。問題解決力が高い人材は、予期せぬトラブルにも迅速に対応し、状況に応じた判断と的確な指示ができます。とくに店舗運営を任される店長にとっては、必要不可欠なスキルといえるでしょう。

問題解決力を高めるには、解決への道筋を立てる分析力が必要です。加えて、計画を最後までやり遂げる実行力・結果を評価する検証力・次の行動へつなげる改善力など、複数のスキルをバランスよく身につける必要があります。

これらの力を総合的に活用すれば、現場で直面する課題を乗り越え、着実に成果へ結びつけられます。

問題の種類

問題は、大きく3種類に分類されます。ここでは、それぞれの特徴と適切な対応方法について解説します。

発生型:すでに発生している問題

発生型の問題とは、すでに表面化し、誰の目にも明らかな課題やトラブルのことです。たとえば、顧客クレームへの対応・スタッフの連絡ミスによる業務遅延・主要取引先の倒産による売上減少などが挙げられます。

発生型の問題は、放置すると被害が拡大するおそれがあるため、迅速な現状把握と応急処置が欠かせません。起きた事象に対して原因を分析し、再発防止策を講じることが大切です。

潜在型:今は表面化していない問題

潜在型の問題とは、現時点では表面化していないものの将来的に発生する可能性のあるリスクや課題を指します。すぐには見えにくい、隠れた問題ともいえるでしょう。

たとえば、市場トレンドや顧客ニーズの変化、DX推進にともなう新たなセキュリティリスク、人事異動にともなうチーム内の関係性の変化などがこれに該当します。

また「前年比で売上がわずかに落ちた」「業務ミスが増えてきた」などの事象も、放置すれば深刻な問題につながりかねません。潜在的な問題に対しては、早めの気づきと予防措置が有効です。

設定型:設定目標を達成する過程で起きる問題

設定型の問題とは、高い目標を設定した際に、理想と現状のギャップを埋めるために明確化される課題のことです。

たとえば「新規事業を立ち上げるための専門知識を持つ人材が不足している」「売上目標を2倍にする販売戦略が確立されていない」といったケースが挙げられます。こうした課題に対応できれば、個人や組織は次の成長段階へ進めます。

問題解決力を身に付けるメリット

問題解決能力を高めれば、ビジネスパーソンとしての成長が促され、多くの利点が得られます。まず、問題解決を効率化できるため、無駄な時間や労力を減らし、重要な業務にリソースを集中できます。

次に、論理的思考力が養われます。物事の因果関係を整理し、筋道を立てて考えられるようになるため、的確な判断がしやすくなるでしょう。

予期せぬトラブルにも、柔軟に対応できる力が身につきます。問題の本質を素早く見抜くことで冷静に対処法を考えられるため、被害を小さく抑えられるでしょう。

問題解決に必要な5つのステップ

問題解決に必要な5つのステップ

問題解決は、闇雲に取り組んでもよい結果にはつながりません。効果的な成果を得るには、定められたプロセスに沿って倫理的に考え行動する必要があります。ここでは、問題解決の具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。

1.問題の所在を明確にする

問題解決の第一歩は、解決すべき課題を正しく認識し、明確にすることです。

たとえば「店舗の月間売上目標は1,000万円」と設定したとき、現状が800万円であれば、200万円の未達が問題として明らかになります。

理想と現実のギャップを明確に言語化・数値化することで、取り組むべき課題の輪郭がはっきりします。問題の所在を明確にするステップを疎かにすると、的外れな対策になり、根本的な解決にはつながりません。

2.問題の原因を深堀りする

原因を徹底的に掘り下げましょう。表面的な事象だけにとらわれず「なぜそうなったのか」を繰り返し問いを立て、根本的な原因を探る姿勢が求められます。

たとえば、売上が低い問題に対して客数が少ないからと結論づけるのではなく「なぜ客数が少ないのか?」「なぜリピート率が低いのか?」と段階的に掘り下げるのが大切です。複数の要素が絡み合う構造を理解すれば、適切な解決策を導くための基盤が整います。

3.解決策と解決の道のりを提示する

解決策の立案と実行までの道筋を明確にしましょう。ひとつのアイデアに固執せず、柔軟にほかの可能性を探る姿勢が効果的です。

具体的な手段と数値目標を含めた案を出すとよいでしょう。そのうえで、実行を担う店舗スタッフや関係部門と計画を共有し、実現可能かどうかを確認する作業が必要です。

複数の解決策がある場合は、効果・緊急性・コストなどから優先順位を付けておくと、現場での実行がスムーズに進みます。

4.解決策を実行する

どれほど優れた解決策も、実行に移さなければ意味がありません。まずは、ゴール達成に向けた具体的なシナリオを描きます。そのうえで「誰が」「いつまでに」「何をするか」を明確にしたタスクリストを作成し、関係者全員で共有しましょう。

計画の目的や背景を丁寧に説明し、各メンバーの役割と責任を明確にすれば、チーム全体で一体感のある実行体制が整います。

5.効果測定と改善を行う

解決策を実行したあとは、成果を測定して評価します。計画段階で設定した目標に対してどの程度達成できたか、具体的なデータで客観的に判断することが重要です。期待した成果が出ていれば要因を分析し、成功パターンとして定着させます。

一方、成果が出なかった場合や新たな課題が発生した場合は、原因の分析が必要です。課題設定や原因の掘り下げ方、対応策の立案などの各プロセスを見直し、改善点を反映した新たな行動プランを策定します。

問題解決の失敗でよくある原因

問題解決に取り組む際、多くの人がいきなり「どうやるか(HOW)」の解決策から考え始める傾向があります。これは、よくある失敗のひとつです。

ビジネスの現場では、日常生活の問題とは異なり、問題の背景に複数の要因が複雑に絡み合っている場合がほとんどです。そのため、簡単には解決できない難しい課題に直面するケースも少なくありません。

このような状況で根本的な原因が解決されないままでは、同様の問題が形を変えて再発するリスクが高まります。効果的に解決へ導くには、原因を正しく分析し、段階的に対策を進める必要があります。

問題解決力を高める方法・トレーニング

問題解決のプロセスを確実に実践して質を高めていくには、日々のトレーニングが有効です。ここでは、現場でも実践しやすい代表的な思考法を4つ紹介します。

1.ロジカルシンキング

ロジカルシンキングは、物事を体系的に整理し、筋道を立てて論理的に考える思考法です。

たとえば「売上が低下しているが客単価は変わっていない」と分析結果が出ていた場合、原因として「客数が減少しているのではないか」「新規集客の試作が不足しているのではないか」と仮説を立てて検証していきます。

ロジカルシンキングを習慣化することで、問題の構造を正確に捉え説得力のある解決策を考えられるようになります。

2.クリティカルシンキング

クリティカルシンキングは「本当に正しいのか?」と物事の本質を問う思考法です。先入観や思い込みを排除し、客観的に情報を評価する力を養います。

ひとつの方法と決めつけず「ほかの可能性はないか」「別の前提でも成り立つか」と視点を切り替えて考える姿勢が求められます。この習慣を身に着けると、より深い原因分析や新たな視点から解決策を見いだしやすくなるでしょう。

3.ゼロベース思考

ゼロベース思考とは、過去の成功体験や既存概念にとらわれず、白紙の状態から物事を考える思考法です。

人は無意識のうちに「こうあるべきだ」「前例がないから難しい」といった制約のなかで判断しがちです。しかし、ゼロベースで発想すれば、固定観念から離れた新たな視点を持てるようになります。

現状維持の姿勢から脱却し、大胆なアイデアや革新的な解決策を生み出すには、ゼロベース思考は有効です。

4.問題や原因の可視化

問題や原因を考える際には、頭のなかで完結させず紙に書き出して「可視化」する習慣をつけると効果的です。可視化により、複雑な問題の全体像を客観的に把握しやすくなります。

ロジックツリーやマインドマップなどのフレームワークを使えば、問題の全体像を整理しやすくなるでしょう。問題の中身を細かく分析して言語化する習慣が身につくため、結果として問題解決力が養われます。

問題解決力が高い人の特徴・行動パターン

問題解決力が高い人には、いくつかの共通する特徴や行動パターンが見られます。

まず、想定外の失敗やトラブルが発生しても、感情に流されず冷静に対処できます。常に最悪の事態を想定して複数の対応策を準備しているため、動揺せずに行動できるのが特長です。

さらに、ひとつの視点にとらわれず、物事を多角的に捉える柔軟な思考を持っていることも共通点のひとつです。このような姿勢により、周囲が見落としがちな問題の本質を見抜いたり、独自の解決策を導き出したりする力が発揮されます。

問題解決力が低い人の特徴・行動パターン

問題解決力が低い人にも共通の傾向があります。物事の表面だけを捉え、根本的な原因まで考えが及ばない場合が多いです。論理的思考力が低く話が飛躍したり、感情的な主張に終始したりする傾向もあります。

また、過去の前例や自分のやり方に固執し、状況に応じた柔軟な対応が苦手です。他者の意見に耳を傾けず、コミュニケーション不足に陥る場合も少なくありません。現状への批判はするものの、具体的な代替案を出さない・行動に移すまでが極端に遅い特徴もみられます。

上記に当てはまる点があれば、問題解決力に課題が残る状態といえます。鍛えれば誰でも向上できるスキルのため、意識して取り組んでいくことが大切です。

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まとめ

問題解決力は、さまざまなビジネスシーンで求められる基礎的なスキルです。本記事でご紹介したトレーニング方法を日頃から実践していけば、問題解決力は確実に向上します。

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