一言でやる気を引き出す「ペップトーク」とは?効果的に使える場面と5つのポイントを解説2025.02.27

ペップトークは、組織のチームワーク構築やスタッフ教育・指導の場面において効果的な技術です。その定義やテクニックを知ることで、的確にスタッフのやる気を引き出せる「デキるリーダー」に近づけるでしょう。

この記事では、ペップトークが使える場面や具体的なステップ、意識すべきポイントについて、言葉かけの例を踏まえて解説しています。ぺップトークを習得することで効果的なコミュニケーションを生み、良好な人間関係も築きやすくなります。ぜひ、参考にしてください。

ペップトークとは?

ペップトークとは相手のやる気を引き出し、前向きな行動をうながす短いスピーチのことです。もともとはスポーツの試合前に監督やコーチが選手を鼓舞するために使われていましたが、ビジネスや教育、日常生活でも効果的に活用できます。

ペップトークのポイントには以下の4つが挙げられます。

  • 現状を肯定的に受け止める
  • 相手の強みや可能性を伝える
  • やるべき行動を明確に示す
  • 背中を押す言葉で締めくくる

基本的にネガティブな表現は避け、シンプルな言葉を使うことで、相手の自信や行動力を引き出します。ペップトークは言葉の力で人を動かし、チームや組織の成果を高める重要なコミュニケーション技術です。

ペップトークが使える場面

一言でやる気を引き出す「ペップトーク」とは?効果的に使える場面と5つのポイントを解説【ペップトークが使える場面】

ペップトークが使える場面を5つ紹介します。すぐに活用できる具体的な言葉かけもあわせて解説しているため、参考にしてください。

大事なイベントの前

大事なイベントの前は、不安や緊張で自信を失いやすいものです。そんなとき、ペップトークを使うことで前向きな気持ちを引き出し、本来の力を引き出しやすくなります。

たとえば、社内研修のプレゼンや試験の前に「あなたならできる」「これまでの努力を信じよう」「いつもどおりやってみよう」と声をかけることで、安心感を与えながら勇気づけられます。このように、部下や後輩の背中を押し、支えてあげることが大切です。

部下の教育や指導

ペップトークは、ポジティブで分かりやすい表現を使うことから、部下の教育や指導に対しても活かせる手法で、モチベーションの向上につながります。

ベテランと新人、店長と社員など立場が違うと、モチベーションや目指すべき目標が異なることから、仕事に対する熱量も人それぞれです。そうした環境下でも、相手を傷つけずによりよい方向へ導くためのひとつの手段となります。

具体的には「一緒に頑張ろう」「応援しているよ」「成長のチャンスだね」などポジティブな言葉かけを意識するとよいでしょう。

近年では、パワハラやセクハラなどのコンプライアンスが厳しくなっていることもあり、教育や指導に悩む管理者の方も少なくありません。ペップトークでは、ポジティブで分かりやすい表現を使うことから、相手に嫌な感情を抱かせず、成長を促せるでしょう。

自分の気持ちを上げたいとき

ペップトークは、相手の気持ちを変化させるだけでなく、自分の気持ちを上げたいときにも効果的です。

不安なときやモチベーションが落ちているときは「自分ならできる」「楽しむぞ」「成長するチャンス」といったイメージや言葉かけをすることで、気持ちを立て直しやすくなります。ネガティブな感情に流されず、自分を奮い立たせる力を身につけられます。

チームワークを高めたいとき

チームワークを高めたいとき、ペップトークは大きな力を発揮します。試合やプロジェクトの前に「みんなで力を合わせれば絶対にうまくいく」「お互いを信じて最後までやり抜こう」と声をかけることで、一体感とモチベーションが高まります。

ミスをした仲間には「大丈夫、次に活かそう」といった前向きな言葉をかけることで、雰囲気をよくし、挑戦しやすい環境を生み出します。ポジティブな言葉を共有し、チームの力を最大限に引き出しましょう。

ミーティングをするとき

ミーティングをするときもペップトークは有効な方法です。冒頭で「今日は自由に意見を出していこう」「どんなアイディアも価値がある」といった前向きな言葉をかけることで、活発な議論を引き出せます。

また、消極的なメンバーには「あなたの意見がチームの力になる」と声をかけることで、発言しやすい雰囲気を作れます。ミーティングの締めくくりには「この方向で進めばうまくいく」と背中を押し、行動につなげましょう。

ペップトークの4つのプロセス

ペップトークは、受容、承認、行動、激励の4ステップで構成されており、正しく組み合わせることで効果を発揮します。それぞれ詳しく解説します。

受容

最初のステップは「受容」です。言葉による手法だけではなく、現状のよいところも悪いところもすべてを受け入れるプロセスが重要です。

たとえば、大きなイベントを前にしたスタッフは、不安や緊張などネガティブな感情を多く抱えているでしょう。そんなとき、あえてネガティブな気持ちに寄り添い、受け止めてあげることで、理解してくれていると感じます。

たとえば、相手が心配や不安をこぼしたときには「心配になるよね」「不安なんだね」とありのままの相手の気持ちを受け止めて、寄り添うことが大切です。このとき、相手のためを想ってアドバイスなどをしたくなる方も多いですが、まずはそのままの感情を受け止め、相手の心の余裕を作りましょう。

受容されると、相手は自分のことを理解してもらえていると感じ、不安解消につながります。信頼関係を築くためにも、まずは自分から相手の気持ちに寄り添うことが大切です。

承認

2つめは「承認」です。受容で寄り添い、受け入れたネガティブな感情を認め、ポジティブな感情に切り替えるためのステップです。

たとえば「私も同じ経験があるよ」「同じ立場なら、きっと誰だって緊張するさ」というように、相手の感情を承認し肯定する声がけもよいでしょう。

また、相手の感情がポジティブなものに変換できるよう「その不安は、ここまで真剣に準備をしてきたからこそだね」といった声がけを行うことで、行動に移しやすくなります。

とくに、受容から承認する流れが重要です。適切なステップを踏んで接することで、ペップトークの成功率が上がります。

行動

受容・承認を経て信頼関係を築けたら、次は「行動」のステップです。行動のステップでは、してほしいことを伝えましょう。ここで注意したいポイントは、否定的な言葉やネガティブな表現は使わないという点です。

具体的には「遅刻しないでね」「緊張しないようにね」などの言葉が挙げられます。「遅刻しないで」と言われると「遅刻してしまったらどうしよう」と不安を抱かせてしまう可能性があるためです。

ペップトークでは、あくまでもポジティブな表現を心がけましょう。たとえば「前日は早めに休んで、しっかり英気を養おう」といったように言い換えることが大切です。

激励

最後の工程は、激励です。相手の気持ちを受容し承認を経て、具体的にしてほしい行動を伝えたら、背中を押してあげるイメージでひと声かけてあげましょう。

激励には2種類あります。

激励型:「君ならできる」「思い切ってやってみよう」「困難を乗り越えたときさらに成長できるよ」といった気合いを与える言葉

見守り型:「みんなで応援しているよ」「私たちがついてるよ」などの安心させる言葉

相手の性格や置かれた状況に応じて使い分けると、より効果的です。どちらも共通するのは背中を押してあげるという点で、具体的に示した行動の後押しをしてあげましょう。

ペップトークをする際の5つのポイント

ペップトークでは、ポジティブな表現や分かりやすい言葉を使うなど、いくつかのポイントがあります。

これらは、ペップトークによる効果を最大限発揮するために、とても重要な要素です。それぞれ具体的に解説していきましょう。

ポジティブな言葉で話す

ネガティブな表現は、不安や緊張を増幅させてしまうだけでなく、嫌なイメージを植え付けてしまいます。そのため、ペップトークではポジティブな言葉で話しましょう。

たとえば「緊張しないでね」「ミスしないでね」と言われると、さらに不安が増してしまいます。しかし、表現を変えて「楽しんでいこう」「確実に進めよう」のように言い換えることで、相手の受け取り方は大きく変わります。

緊張や不安を増幅させないためにも、ポジティブな表現を意識して実践してみましょう。

短い言葉で話す

緊張や不安を抱えている相手に対し、長々と話しても内容が伝わりにくく、かえって不安を煽ってしまう可能性があります。そのため、短い言葉で簡潔に話しましょう。

そもそもペップトークは、試合前の限られた短い時間で気持ちを高める方法であるため、短い言葉を使うほうが効果的です。具体的には「楽しむ」「ゆっくり」「できる」のような単語がおすすめで、言葉のリズムがよいと相手の記憶にも残りやすくなります。

分かりやすい言葉で話す

ペップトークは、相手に伝わらないと意味がありません。そのため、誰でも理解できるような分かりやすい言葉で話しましょう。

深く考えなくても、すんなりと理解できる表現が理想的です。チームの共通言語や造語などを用いると、仲間意識向上にもつながるでしょう。相手がイメージしやすい造語や、聞き慣れた表現などを活用するのがおすすめです。

相手が欲しい言葉で話す

ペップトークの内容は、自分が話したい言葉ではなく、相手が欲しい言葉を主軸に考えましょう。

一人ひとりに合った言葉を選ぶには、日頃からのコミュニケーションが不可欠です。相手の状況や感情を理解することを心がけ、どういった言葉を求めているのか想像してからアプローチしてみましょう。

少し緊張している方が実力を発揮しやすい人であれば「集中していこう」「任せたよ」などの表現が効果的です。一方で、リラックスした方が上手くいきやすい人であれば「大丈夫だよ」「楽しもうね」などの声がけがよいでしょう。

自分目線の気持ちを押しつけるのではなく、相手に寄り添い、欲しい言葉を伝えることで、より効果的なペップトークが実現できます。

相手の心に火をつける関わりをする

ペップトークは、相手の心に火をつける関わり方をすることで真価を発揮できます。気持ちがない言葉は、相手の心に届きません。本気で相手を応援する気持ちを持つことが大切です。

相手の心にしっかりと言葉を響かせるには、信頼関係の構築が重要です。重要な場面でのみ関わろうとするのではなく、普段からコミュニケーションを取り、互いに理解と信用を深めることが大切です。

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まとめ

ペップトークは、シンプルで前向きな言葉でやる気を引き出し、組織力を高める技術です。効果を最大限発揮するには、受容・承認・行動・激励の4ステップを正しい順番で進めることが大切です。

また、ポジティブで分かりやすい表現を活用することや、相手が欲しい言葉をかけてあげるなど、意識すべきポイントがいくつかあります。日頃からコミュニケーションを取り、良好な信頼関係を築いておくことも大切です。

ペップトークは、正しいステップでポイントをおさえれば効果的ですが、実践していくなかでは、臨機応変な対応が求められることもあります。ペップトークだけでなく、日々のコミュニケ―ションをはじめとするさまざまなスキルアップを目指したい方は、研修への参加もおすすめです。

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