クレーム対応で自分たちに非がある場合はどのように対処すべき?2023.09.27

どのような業界でも、必ずクレームは存在します。少ない職種はあっても、まったくクレームがないというわけではありません。とくに接客業においては、お客様からの一方的な主張だけではなく、自分たちに非がある場合のクレームも多々あります。

その際、少しでも対応を間違ってしまうと、お店の評価も下がってしまい、お客様からの信頼を失ってしまうこともあるでしょう。

そこで今回は、自分たちに非がある場合のクレーム対応や解決策、NG行動などを紹介します。

クレーム対応のNG行動

まず、正しいクレーム対応より、やってはいけないNG行動を先に覚えておきましょう。これからお伝えをする以下の内容を避けるだけで、お店や従業員たちのイメージが変わり、プラスに働きます。

たとえ自分たちに非がなかったとしても、相手に悪い印象を少しでも与えてしまえば、さらに事態は大きくなります。一旦、冷静になってもらい、きちんとした話し合いができる環境を作ることが大切です。

お客様の言動を否定する

相手の主張が理解できなくても、発した言葉に対して、すぐに否定するのはよくありません。友人とのコミュニケーションでも、否定から入る話は聞きたくないでしょう。

常に責任感を持って、仕事に取り組んでいる真面目な方や店長などの立場で働かれている方はとくに注意してください。自分の接客は間違っていないと確信をしたとき、その誠意を伝えようと必死になって、つい否定的な言葉を言ってしまったことはありませんか?

なかには、否定的な表現を、無意識に使ってしまう方もいるでしょう。仮に、意図的に発したわけではなかったとしても、お客様からすればすべて同じです。あまりよい気はしません。

そのため、クレームの対応時にはなおさら、言葉選びや言い方には気を付けてください。理解しようとする姿勢を相手に見せることにより、お客様によっては、平常心を取り戻して怒りが治まることもあります。

お客様の話を途中で遮る

接客をしていると、ときには理不尽な内容のクレームもあります。しかし、颯爽と結論を決めつけて、相手の話を中断したり、自分たちの主張を最優先したりしてしまうと、かえって逆効果です。

自分の言いたいことだけを言うために、相手の話を断ち切ったとしても、直接的な解決にはなりません。わざわざお店へ足を運んで来てくださったお客様です。話を最後まで聞き、イメージダウンにつながらないようにしましょう。

また、トラブルや話し合いで、同じ言葉に対して、双方で異なる解釈をしている可能性もあります。時間を現す表現で「すぐに」や「少々」などの言葉を使いますが、伝える人と受け取る人との間でニュアンスが違うこともあるでしょう。

お店側は「なるべく早く」という感覚で「すぐにお持ちします」と言ったとしても、お客様の方が10分以内のつもりで解釈をしていた場合、誤解が生まれます。もしかしたら、お互いのニュアンスの違いが原因かもしれません。

お客様を待たせる

トラブルの根本が、まだ解決されていない状態で待たせられてしまうと、さらに怒りを増幅させてしまう恐れがあります。状況にもよりますが、優先的になるべく早めに対応してください。

後回しにしたり、たらい回しにしたりすると、不安感も増す可能性があります。クレーム対応の流れをあらかじめ決めておくなりして、スムーズに対応できるようにしましょう。そのままにしておくと、クレームの数を増やすことになってしまいます。

もし、ほかのお客様の視線が気になるようであれば、少し場所を移動して、話しやすい環境にするのもひとつの方法です。時間が必要であれば、その旨を伝えて納得していただき、日にちを変えてお詫びをしましょう。

クレーム対応の基本

つぎに、押さえておきたいクレーム対応の基本を5つ紹介します。先述したNG行為を避けただけでは、現状維持にすぎません。これを機に、リピーターにできるかもしれないチャンスだと思って、お客様としっかり向き合いましょう。

まずは謝罪から入る

冷静な状態で話し合いができるように、お客様に対してまず謝罪してください。ただし、お店側に非がなくて謝罪する場合、自分の主張は正しいと勘違いをして、不可能な要求をしてくるお客様もいます。

そのため、そのような場合は、自分の非を認めるのではなく、不満に感じた気持ちに寄り添い、申しわけないと思うお詫びをしましょう。お客様に不快な思いをさせてしまったことに対してのお詫びをすれば、落ち着いて話を聞いてくれます。

事実確認する

トラブルの詳細を知るために、どういう状況で、お客様は何に対して不快だと感じたのか、という事実を確認するべきです。その際に、必ず自分たちの行動も一緒に再確認をして、そこにズレが生じていないか、言動をひとつずつ確かめる作業をしましょう。

あくまでも、トラブルが起こった経緯を聞きだす確認作業なので、詰め寄った言い方は避けてください。質問するときも、淡々と一問一答するのではなく、適度な相づちや枕詞を使用しながら聞くのがベストです。

もし、双方の間に誤解があれば、ここで分かります。トラブルの原因が、説明の仕方や言い方であれば「言葉が足らずに申しわけございません」などといった表現を使い、気分を害さないようにしましょう。

憶測で話さないようにする

話し合いをする際、決して憶測だけでは話さないようにしてください。重要なのは、お客様が何に対して怒っているのか、という理由や根源を明確にすることです。クレームの内容を正確に把握して、今後の対策や解決策につなげましょう。

もし相手の主張を、憶測だけで結論付けて話をすると、お客様の不信感や不満を増やし、二次クレームになりかねません。事実と異なる情報を突きつけられ、雑に対応されていると勘違いをしてしまいます。

お互いが、間違った解釈で話を進めないようにするためにも、決めつけた言動は避けてください。

お客様に共感する

お客様が不満に思った原因が分かれば、それに対して共感しましょう。お客様の都合でクレームを言われた場合も同様です。相手の立場になって、怒りや不安を緩和することが大事です。

ただ、お客様が不満に感じた自分たちの言動の背景には、お店側なりの理由が存在する可能性もあります。そういった、自分たちに非がないクレームに近しいときは、相手の意見や言動を肯定するのではなく、不満に思ったことに対して、感情の理解をしましょう。

クレームの内容をひとつの意見として聞くことで、信頼関係を築けます。

解決策を提案する

クレーム対応の着地で最も重要なのは、お互いが納得できる解決策を提供することです。起きてしまったトラブルを、そのあとどのように解決すればよいのか、お客様自身に決めてもらいます。

そのためには、いくつか選択肢を提供しなければいけません。ポイントとしては、お客様の要望や期待を把握したうえで、事実や根拠に基づいた提案をすることです。

お客様の主張だけだと、場合によっては、法的な処置を取るといわれることもあります。そのため、きちんと話し合いをして、双方の意見を合わせた提案をしましょう。

自分たちに非がある場合の対応方法

では一体、自分たちに非がある場合のクレームでは、どのような対処法が求められるのでしょうか。適切な対応をお伝えします。

たとえば、雑貨屋などの接客にて、購入をした商品に不備があってクレームを受けた場合です。

「在庫を確認して新品のものと交換する」「在庫がなければ別の商品と交換する」「不備があった不良品は返品して、お金は後日返金する」などといった選択肢が挙げられます。

このように、複数の選択肢を提供して、誠意を示すことが大事です。その際、どんな解決策であっても、お客様の同意や納得はきちんと得ましょう。

それから、飲食店の接客で多いミスといえば、オーダーが上手くとおらず注文されたメニューを提供しそびれたり、注文の内容が間違っていたり、といったものがあります。クレーム対応のスピード性は、自分たちに非がある場合は、とくに重要です。申し出があったその瞬間に、謝罪と注文の内容を再確認しましょう。

そして、自分たちに非がある場合のクレーム対応で一番やってはいけないのは、トラブルになった原因は未解決のまま、根本を無視してほかのもので誤魔化す行為です。

クレームの予防方法

これまで、トラブルが起きたあとの対処法を、自分たちに非があるパターンと、そうでないパターンとで、それぞれお伝えしてきました。しかし、トラブルが発生しないに越したことはありません。お互いにとっても、なるべくクレームの数は少なくしたいです。

具体的なクレームの予防法をまとめましたので、今後の参考にしてください。

体制を整える

クレームのほとんどは、お客様とのコミュニケーションで最小限に減らすことが可能です。もちろん会話も大事ですが、従業員の身だしなみ、立ち振る舞い、表情、などの非言語的コミュニケーションが重要になります。

プロとしての演出をすることで、お客様の信頼を獲得し、クレームを起こさせないようにしましょう。

また、従業員との連携を強化して、間違いが起こりやすいものに関しては、ダブルチェックを徹底してください。お客様からの質問にすぐ答えられるように、必要だと思う知識や情報は身に着けておくことも大切です。

クレーム内容を共有する

介護や医療の現場で必ず行う、引継ぎや申し送りなどを導入するのもよいかもしれません。重要事項を一冊のノートに記載したり、誰でも確認ができる場所にホワイトボードを設置して、クレームがあったお客様の詳細を書いたりして、同じミスを繰り返さないことです。

その際は、トラブルが発生した経緯や実際に行った対処法なども、一緒に記録してください。話し合いで決めた対策は、新入社員の方や、週に数回だけ出勤するアルバイトの方にも共有して、みんなでフォローしましょう。

接客業に勤めていると、話し方に気を付けなければなりません。接客をする際に気を付けたい話し方や好印象な話し方について、こちらで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、自分たちに非がある場合のクレーム対応を中心に、解決策や予防方法などを解説しました。

接客業のジャンルによってもクレームの内容は異なりますが、すべてに共通していることは、クレームは苦情ではなく、お客様の意見であるということです。お客様に満足してもらうため、一人ひとりの意見と向き合い、日々のモチベーションにつなげてみてはいかがでしょうか。

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